動物病院経営パートナーEn-Jin ブログ
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少しでも皆様の参考としていただけるよう、
できる限り具体的な情報発信を心がけています。
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【シリーズ 動物病院のワークライフバランス】 第1回 医療労務コンサルタント研修を受講して
カテゴリ: ブログで動物病院経営セミナー(ウチ向きの課題)
今回からは
【シリーズ 動物病院のワークライフバランス】と題して
数回に分けて、動物病院の人事労務、評価制度、メンタルヘルス、
助成金・補助金などについての情報をお伝えしたいと思います。
このテーマについて書きたいと思ったきっかけは、
先日、社労士会主催の「医療労務コンサルタント研修」を受講したことです。
代表プロフィールにも掲載している通り、
私は社会保険労務士(社労士)の資格を保有しています。
「社労士って何?」という方も多いと思いますが、
簡単に言うと「人事労務の専門家」のことです。
雇用契約、就業規則、評価制度、人事トラブル対応などに
精通しているほか、給与計算や社会保険の実務なども担います。
社労士と顧問契約をしている動物病院も最近は増えてきています。
(私自身は人事・労務に限らず、動物病院の経営全般をサポートしています)
そして社労士も獣医師と同じように「社労士会」という業界団体があり、
日々、各種研修や勉強会などを開催しています。
私もそういった研修にしばしば参加していますので、
動物病院を経営していらっしゃる皆様に役立つ情報を
ブログでお届けしていきたいと考えたわけです。
<こんな研修に参加してきました!>
今回私が参加してきた研修は「医療労務コンサルタント研修」。
11/14,15の2日間にわたって開催され、
100名以上の社労士が参加しました。
医療労務コンサルタント研修の様子
この研修には、社労士の中でも医療機関の労務に携わっている方や
これから携わりたいと考えている方が多く集まりました。
私は日々社労士としての業務にどっぷりと浸かっているわけではなく、
動物病院の経営サポートのお仕事をする中で社労士としての知識を
活用しているという感じですので、「社労士」として独立されている
生粋の(?)先生方と交流をすることも楽しみに受講しました。
<研修の総括>
結論を述べると、今回の研修は非常に勉強になり、
2日間参加した価値が十分にありました。
・国(厚労省)や医師会や日本看護協会から
従業員の勤務環境改善のための取組進捗報告
・医療機関をクライアントとして活躍されている
社労士の先生方から、医療機関の勤務環境改善の
具体的な手法やスタンスについての話
・参加した社労士同士でケーススタディ
などなど、お世辞抜きに内容の濃い研修だったと思います。
<強く感じた2つのこと>
そしてこの研修全体を通して
私が強く感じたのが以下の2つのこと。
1.人医療業界と動物病院業界の人事労務上の共通点は多い!
これ、実は私も正直半信半疑だったんです。
人の医療には診療報酬制度というカラクリがあったり、
看護師が国家資格だったり、
病院内に人事部門(事務職)があることが当たり前だったり、
動物医療の世界とは異なる点がたくさんあります。
なので、研修を受講した結果
「やっぱり医療機関と言っても人と動物では全然違うわ。
あんまり参考にならなかったな」
となってしまう可能性も覚悟のうえで、研修に参加しました。
ところが!
参加してみてまず感じたのは
「人の医療の世界と動物病院業界は労務的にも共通点だらけ!」
ということでした。
- ・慢性的医師不足・看護師不足
- ・資格職のため離職率が高い(開業とか転職とか気軽にしやすい)
- ・退職時にもめることがしばしばある
- ・業務の性質上、労基法の遵守が現実的に困難(応召義務との兼ね合い)
- ・女性の割合が増えており、女性の労働力の活用が急務
- ・カンファレンスや学会の準備など業務と自己の時間の境界が曖昧な時間がたくさんある
ざっと思いつくだけでも
人の医療の世界と動物医療の世界の
人事労務にはこれだけの共通点があります。
ということは、
人医療の人事労務から学べることが
たくさんあるということ。
あらためて人医療の世界は
ウォッチし続けなければならないと感じました。
2.動物病院業界の人事労務面はまだまだ未整備!
次に、ある程度覚悟していたことではありますが、
研修で人の医療機関の組みについて学べば学ぶほど、
「人医療の世界に比べて、動物病院業界の人事労務面はまだまだ未整備」
だということを痛感させられました。
(1)情報ギャップ
まず痛感したのは人事労務に関する情報ギャップ。
例えば労働関係法令のルールや、人事トラブル時のポイント、
直近の裁判例や、人事労務関連の助成金などなど、、、
ヒトのお医者さんは実によくご存じだなと感じました。
国や業界団体の勉強会や、周辺業者やコンサルタントなどから
入る情報の量が動物病院業界とは雲泥の差だということなのでしょう。
ヒトの医療の世界では、たとえば
「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」とか
「看護師の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」とか
いった資料が、医師会や看護協会から配布されていたりします。
動物病院業界でも、
最近は大きな学会で人事労務のテーマの講演があったり、
動物病院向けに情報発信をされている弁護士や社労士の
先生方も増えてきていますが、
人医療の業界と比較すると、
まだまだ「情報が入らない」もしくは
「情報を手に入れるために高いお金がかかる」
業界であることを感じさせられました。
(2)実行力ギャップ
次に感じたのは実行力のギャップ。
私が研修中にお話ししたある社労士の先生は
医療機関で事務長としてお勤めで
社内の日々の人事労務管理はもちろんのこと、
経営者の命を受けて、労働時間短縮のプロジェクト
に取り組まれているとのことでした。
そう、ヒトのお医者さんの世界では、
社会保険労務士などの専門家を
自社の人事スタッフとして雇うことが
決して珍しくないのです。
一方で、これは動物病院業界ではまだまだ珍しいことです。
動物病院業界では、その利益構造や事業規模から、
人事部門を独立して設けることが現実的でないケースが多く、
例えばスタッフの評価制度を作成・運用したり、
勤務環境の見直しをして結果をトレースするというような
人事施策が「やりたくてもできない」とお悩みの病院が
少なくありません。
動物病院の院長先生方も
決して人事労務に無関心なわけではなく、これまでも
勤務環境を改善したいとお考えの先生にたくさん出会ってきました。
しかしそれを実行に移すだけの時間や労力が足りない、
という現実が大きなハードルとなっているのです。
私もこのような仕事をしている以上、
動物病院業界と他の業界との
情報ギャップや実行力ギャップを
少しでも埋めるお手伝いができればと
感じずにはいられませんでした。
そしてその目的に合致するのであれば、
私が得た情報は包み隠したり小出しにするのではなく、
会員様へのコンサルティングはもちろんのこと、
ブログや無料相談などでも
極力オープンに発信していければと考えています。
ということで次回以降、
「医療労務コンサルタント研修」で学んだことに、
私なりの肉付けや考察を加えながら
数回に分けて、
動物病院の人事労務、評価制度、メンタルヘルス、
助成金・補助金などについてお伝えしたいと思います。
お付き合いいただければ嬉しいです^^
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動物病院経営パートナー En-Jin 企業理念
1.院長先生の想いを推進する「エンジン」に
ノウハウや理屈を教えるだけではなく実務を推進。
「やりたいこと」を形にします。
2.動物病院のメンバーが「円陣」を組めるように
病院全体がイキイキと同じ方向に進めるよう、
スタッフマネジメントをサポートします。
3.動物病院に多くの出会いをもたらす「縁人」に
飼主様・スタッフ・外部専門家などとのご縁をつなぐ
架け橋になります。
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