動物病院経営パートナーEn-Jin ブログ
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【シリーズ 動物病院のワークライフバランス】第2回 なぜワークライフバランス改善が必要か
カテゴリ: ブログで動物病院経営セミナー(ウチ向きの課題)
<「ワークライフバランス」という言葉がもつ印象は?>
「ワークライフバランス」という言葉があります。
この言葉を聞いて皆さんはどんな印象を受けますか?
本来、仕事(ワーク)と生活(ライフ)の
バランスを整えることは素晴らしいことなのですが、
経営者の皆様にとっては少し「耳の痛い」言葉かもしれません。
実は私もそうでした。
私は動物病院のコンサルタントになる前の
サラリーマン時代(鉄道会社の人事)を含めて、
経営者側の視点で仕事をすることが多かったため
「ワークライフバランス」と聞くと、
- ・コンプライアンスを遵守をしなければならない
- ・従業員の要望に応えなければならない
- ・職場の不満を解決しければならない
といった「ねばならない」という感情がセットで想起されてしまい、
正直なところ、ワークライフバランスという言葉を
あまりポジティブに捉えられない時期がありました。
動物病院業界に限らず、
「ワークライフバランスを整えましょう」と言う言葉は
経営者にとっては、
ある種の「しんどさ」「わずらわしさ」を伴うことが
少なくないと思います。
そこで、今回はまず、
なぜ動物病院のワークライフバランス改善が必要か
という根本的な話からはじめたいと思います。
<ワークライフバランスを整えるのはなんのため?>
1 ワークライフバランスを整える
ワークライフバランスを整えるということは、
たとえばどういうことでしょうか?
- ・勤務負担(労働時間)を適正化する
- ・やりがいを感じられるように評価制度を整える
- ・プライベートとの両立ができるようにする
などが挙げられますね。
これはすなわち「スタッフの待遇改善」です。
2 医療やサービスの質の向上
ワークライフバランスを整えると…
- ・労働時間の適正化によりスタッフが業務により集中するようになりミスが減る
- ・評価をすることでやりがいをもって働く
- ・人材が定着し、ノウハウが蓄積され、教育・指導の質が向上する。
と、医療の質の向上につながります。
3 飼主様の満足度の向上
医療やサービスの質が向上すると…
- ・飼主様の信頼を得て、より選ばれる病院になる
- ・スタッフの定着率が上がり、飼主様とスタッフの関係が深まる
と、飼主様の満足度向上につながります。
4.経営の安定化
飼主様の満足度が向上すると…
- ・売上や利益に良い影響が出る
- ・新しい人の採用や、さらなる雇用環境の改善にお金をかける余裕ができる
と動物病院の経営自体が安定し、
さらにワークライフバランスを整えるための
余裕が生まれやすくなります。
これら「1」~「4」は一方通行ではなく、
下の図のように循環しています。
ワークライフバランスを整える目的は、
この好循環を作ることなのだと意識することが大切なのです。
「ワークライフバランスを整える」ということを
「スタッフの待遇を改善する」という面のみから見てしまうと、
病院の労働力が足りなくなったり、
人件費が余計にかかったりするという
ネガティブな面ばかりが懸念されてしまいがちです。
が、上の循環図が示すように
ワークライフバランスを整えることは
スタッフのみならず、飼主様のためでもあり
ひいては病院(経営者)のためだと考えると
その重要性が腑に落ちるのではないでしょうか。
「そんなにうまいこといくわけないじゃん」
「動物病院の現場がわかってないなー」
というツッコミが聞こえてきそうですね。
確かに上記の循環図のように
常にワークライフバランスの効果が理想的に
回るケースばかりではありません。
- ・待遇改善したのにスタッフがあっさり辞めてしまった
- ・評価制度を導入したけどスタッフが成長しない
- ・人件費は増えたけど売上は減った
ということも当然に起こり得ます。
また私も多くの動物病院の現場を見てきましたので、
業務の性質上、動物病院でワークライフバランスを整える
というのが容易ではないことは承知しているつもりです。
- ・病院の営業時間自体が長いので労働時間を短縮するのが難しい
- ・シフト制を組むほど人件費に余裕はない
- ・仕事と勉強の境目が曖昧。そして勉強しないと成長できない。
- ・動物の命をほうっておくわけはいかない(応召義務)
というのが、多くの動物病院の(院長先生の)切なる声だと思います。
しかしそれでもなお、私は
「できることからでいいので
ワークライフバランス改善に取り組みましょう」
というスタンスをとっています。
それは次に述べるような悲惨な事態を避けるためです。
<ワークライフバランスを無視するとどうなる?>
1 ワークライフバランスを無視する
動物病院に限らず、
ワークライフバランスを無視すると
スタッフは以下のようになります。
- ・労働時間に歯止めがかからなくなり心身に支障が生じる
- ・仕事にやりがいを感じられなくなる
- ・職場に対する帰属意識が低下する
2.医療やサービスの質の低下
そうすると…
- ・疲弊した獣医師や看護師がミスをする
- ・飼主様に対する接遇なども低下する
- ・人が定着しないのでノウハウが蓄積されない
- ・たえず新人教育をしているような状態になる
という形で医療の質が低下します。
3.飼主様の満足度の低下
医療の質が低下すると当然のことながら…
- ・飼主様の満足度が低下する
- ・スタッフと飼主様の関係も深まることがない
という事態につながります。
4.経営が不安定に
飼主様の満足度の低下はすなわち
- ・売上や利益の低下
につながり、経営を直接的に圧迫します。
また人材が定着しないことによって
常に採用・求人・教育のために費用を
かけなくてはならない状態になってしまいます。
当然ワークライフバランス改善のために
お金をかける余裕もなくなります。
まさに以下の図のような悪循環、
負のスパイラルができあがってしまうのです。
この話に耳が痛いという先生も多いと思いますが
ワークライフバランスの重要性を説明するために
あえて書かせていただきました。
というのも、実は上述した悪循環というのは
人の医療業界が過去経験してきた道に
ほかならないからです。
詳しくは次回のブログで触れていきたいと思います。
引き続きお付き合いいただければ嬉しいです。
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動物病院経営パートナー En-Jin 企業理念
1.院長先生の想いを推進する「エンジン」に
ノウハウや理屈を教えるだけではなく実務を推進。
「やりたいこと」を形にします。
2.動物病院のメンバーが「円陣」を組めるように
病院全体がイキイキと同じ方向に進めるよう、
スタッフマネジメントをサポートします。
3.動物病院に多くの出会いをもたらす「縁人」に
飼主様・スタッフ・外部専門家などとのご縁をつなぐ
架け橋になります。
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