大きなニュースになりましたので
ご存知の方も多いと思いますが、
先日、厚生労働省が
労働基準関係法令に違反した
企業の実例の一部を公表しました。

各都道府県の労働局が公表した内容を集約したもので、
企業の実名と事案の概要が公表されています。

ざっと見たところ、動物病院の事案はないようですが、
決して他人事ではありませんので、
ぜひ一度は目を通されることをお勧めします。

厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」

 

この資料に目を通してみると、

◆労働災害関連の事案
◆賃金未払いの事案
◆労働基準監督署等の調査の際に虚偽や隠ぺいを行った事案

の割合が非常に多いことがわかります。

そのような事案には
特に行政も厳正に対処しているということがわかります。

またご留意頂きたいのは、この公表事案は送検されたもの
すなわち比較的「大きな(悪質な)事案」ですので、
氷山の一角に過ぎないということです。

実際には労働基準監督署等から指導や是正勧告を受けた
事案はこの何十倍もあると思いますし、
動物病院の事案もあることでしょう。

 

動物病院という命を扱うお仕事の場合は、
特にその使命感や責任感から、
労働法のコンプライアンス(法令順守)が後回しにされがちです。
経営をされている中で、
現場の実態と法律との乖離を感じることも少なくないと思いますし、
正直「法律なんて全部守ってたら動物病院なんてできないよ!」
と言いたくなる場面もあるとは思います。
(私ですらそう言いたくなる場面はあります)

しかしながら、いざ大きな法令違反を起こしてしまうと
それは組織に取り返しのつかない大きなダメージを与えます。

労働災害や賃金未払いに直接関わったスタッフが辛い思いを
することは当然ですが、それ以外のスタッフも企業に対して
大きな不信感を抱くことになります。

またその噂が顧客(動物病院の場合は飼主様)に伝わり、
企業自体の評判を大きく落とすことも決して珍しくありません。
悪質な事案の場合は今回のように大々的に公表されることもあります。
そうなると企業の業績や求人にも当然大きな悪影響が出ます。

不謹慎な話ですが、今回事案が公表された企業の中には
事案発生後に大きく業績が傾いてしまった企業も少なくないと思います。

私自身も動物病院の経営のサポートをする仕事を始めてから
これまでの間に、何度か動物病院に労働基準監督署が
調査に入ったり、是正勧告をするという現場を見てきました。

痛感するのは、労務のトラブルは院長先生や動物病院の組織を
大きく疲弊させるということです。本業に手がつかなくなり、
スタッフにも余計な不安を与えてしまうことになります。

そのような事態にならないためにも、
日頃から労務のコンプライアンス(法令順守)を意識することが大切です。

今回公表された事案を他人事ではなく
自らの動物病院でも起こり得ることだと捉えて参考にしていただき、
日々の労務管理やコンプライアンスについて
あらためて考えるきっかけにしていただければ幸いです。

厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」

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