動物病院経営パートナーEn-Jin ブログ
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動物病院の人材紹介サービスってどうなの?
カテゴリ: ブログで動物病院経営セミナー(ウチ向きの課題)
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動物病院業界における人材紹介についてのあれこれ
<人材紹介サービスってなに??>
昨今の人手不足、求人難の情勢を受けてか、
昨年くらいから動物病院業界でも人材紹介サービスを
目にする機会が顕著に増えました。
人材紹介サービスとは簡単に言うと、以下のような仕組みです。
1.人材紹介会社が獣医師や動物看護師、トリマーを探してきてくれ、
動物病院や企業にその人材を紹介してくれる。
2.人材にとっては企業との事前の条件交渉や連絡をしてくれるという
メリットがあり、企業にとっては自社で求人をかけてもなかなか
見つからなかった人材を人材紹介会社が探してきてくれるという
メリットがある。
3.ただし、企業側は採用が決まった場合には一定の手数料を
支払う必要がある(年収の3割程度が相場)。
このブログの読者の先生方の中にも
そのような広告を目にしたり、FAXや電話で営業を受けたことがある
もしくは人材紹介会社経由で獣医師や動物看護師、トリマーを採用したり
面接を実施したという先生も多いのではないでしょうか?
弊社の周辺でも、そのような話を聞く機会が増えましたし、
ご連絡を頂戴し人材紹介会社の代表の方と
お話をさせていただいたこともあります。
<動物病院側(企業側)から聞こえてくる声>
動物病院側からは
「年収の3割の手数料とかぼったくりじゃないの?」と
というような声も多く聞かれます。
かつては求人さえ出せばどんどん応募があるという時代も
あったので、お気持ちは非常によくわかります。
またなかには「人材紹介会社がサクラみたいな人を抱えていて
手数料が入ったら退職させるというようなことをするんじゃないの」
などという人材紹介の仕組み自体に懐疑的な声もまだまだ聞こえてきます。
(免許を取得して真面目にビジネスをしている紹介会社に
とっては非常に失礼な話ですが…)
馴染みのないサービス業態に、動物病院(企業)側が
まだまだ戸惑っており、様々な憶測やトラブルが発生するのは
ある程度やむを得ないことだと感じています。
<求職者側から聞こえてくる声>
ではこのような人材紹介サービスについて
求職者側はどのように考えているのでしょうか。
私は仕事柄、動物病院の内定者も含め現役の獣医学生や看護学生と
話す機会が多いのですが、彼ら、彼女らからも人材紹介サービス
に関する声を聞く機会が増えました。実際にそのようなサービスを
使って動物病院に入社した人と話したこともあります。
求職者からは
「自分に合った企業を人材紹介会社が見つけてきてくれたので助かった」
「間に入ってくれたキャリアコンサルタントがよく話を聞いてくれた」
というポジティブな声もあれば、
「人材紹介という仕組みだとよく知らされていなかったので
自分を採用するのに高額な手数料がかかっていると後から知って驚いた」
「高いお金を払ってるんだからちゃんと働いてねと言われてプレッシャーだった」
というネガティブな声もありました。
中には
「人材紹介会社が紹介してくれたある病院に面接に行ってみたら、
『人材紹介会社を介さずにこっそりもう一回受けてくれたら採用する』
と持ち掛けられた」という声もありました。
病院側は手数料を払いたくないためにこのようなことを持ち掛けたのでしょうが、
これは「中抜き」と呼ばれる行為で人材紹介会社との重大な契約違反になります。
違約金が発生したり、人材紹介業界のブラックリストに載り、
二度と紹介してもらえなくなる可能性も高い行為です。
サービスを利用して人材を紹介してもらう以上は、
中途半端に策を弄することはお勧めしません。
また更に驚いたことに、動物病院への求職者向けに
就職説明会などを主催している企業などから
「人材紹介会社経由で面接に行ってしまったのなら、
一度人材紹介会社との契約を解約してから
もう一度受けなおした方がいいよ」
と言われたという声もありました。
その企業としては
人材会社経由より直接応募してくれる方が低コストなので
付き合いのある動物病院を助けたいがために
人材紹介会社の利用を辞めさせたくて言ったのかと思います。
気持ちはわからなくはないですが、学生がどんなサービスを使おうが
自由ですのでそれを抑え込むことにどこまで意味があるのか疑問ですし、
何より上述の「中抜き」(契約違反)を助長するような物言いでもあり
企業の発言としては慎重さを欠く危険な行為だと感じました。
<人材紹介サービスをどう考えるか>
以上が私が今年目の当たりにしてきた、
動物病院業界のおける人材紹介サービスを取り巻く現状です。
それを踏まえて表題の問いに戻ります。
「最近よく目にする獣医師や動物看護師の人材紹介ってどうなの?」
この問いに対して、個人的には2つの考えを持っています。
1.サービスはうまく使えばよい。ただし費用対効果にはより慎重に。
まず大前提として、人材紹介は動物病院業界には
まだまだ定着・浸透しているとは言えませんが、
人間の医療の世界も含めて様々な業界で既に定着しているサービスです。
(「~看護師」とか「~薬剤師」など
大手の人材紹介サービスの名前は皆さんも聞いたことありますよね)
私は社労士としての学会や勉強会で、人の病院の事務長の方や
人の病院の顧問社労士の先生方とお話しする機会もありますが、
病院によっては採用の5割以上が人材紹介会社経由とのことです(!)
ある人間の病院の事務長の方に
「人材紹介って手数料がかかって大変じゃないですか?」と聞いたら
「それでもお金払えば安定して人材を供給してくれるんだから
安いもんですよ。自社だけで求人活動なんてとてもできません」
という答えが返ってきました。
もちろん人の病院と動物病院の求人をひとくくりにして語ることは
できませんが、確かに費用に見合ったサービスを提供してくれるなら
利用する価値はある、と私も考えています。
(これはあらゆるサービスに対して言えることです)
ですから動物病院でも、人材紹介を「ぼったくり」などといって
いたずらに批判したり遠ざけるのではなく、
払うお金に見合う効果が得られると判断できるなら、
大いに利用・活用すればいいと思います。
私の周辺でも、うまく活用されている動物病院も出始めていますし、
中にはこれほど人材紹介サービスを目にするようになる以前から、
人材紹介や人材派遣をうまく活用されてきた院長先生もいらっしゃいます。
ただし勘違いしていただきたくないのは、
決して人材紹介サービスの利用を手放しで
推奨しているわけではないということです。
言わずもがなですが、
年収の3割程度という紹介手数料は決して小さくありません。
紹介してもらった人材については、面接等でいつも以上に
どのような方かというのをよく見る必要がありますし、
雇ったのにすぐにやめてしまったということがあっては
手数料の分、大損をすることになってしまいますから、
将来的なその方の希望(何年程度働きたいのか、
ずっと動物病院業界で勤めたいのかなど)についても
よく確認する必要があります。
また求職者だけではなく、間に入ってくれる会社や
そのエージェントの方が信頼できる人か、
やりとりはスムーズか、重要な情報を隠していたりしないか
などということもよく見極めて付き合う必要があります。
これはあくまで私の肌感覚ですが、
まだまだ動物病院業界対象の人材紹介サービスは
紹介してくれる人材の質や、
間に入ってくれるエージェントの方の質にばらつきがあります。
素晴らしい人材を連れてきてくれるケースもあればその逆もあります。
また非常に話のわかる信頼できるエージェントの方もいれば
求職者とろくに連絡もとらず、こちらの条件も全然伝えていない状態で
面接をセッティングするような適当なエージェントもいます。
それが今年、実体験を通じて感じた私の印象でした。
考えてみれば、求職者も人であり、エージェントも人ですので、
その質にばらつきがあるのはある意味当然のことですよね。
それぞれの人間をよく見極めたうえで、
雇ったり、お付き合いをするかを決めるのは
従来の求人で応募があって面接をする際や、
例えばHP制作会社などの外部業者を選定する際も同じことです。
なので私の人材紹介サービスへの考え方の一つは
「サービスはうまく使えばよい。ただし費用対効果にはより慎重に。」
というものです。
2.動物病院業界に様々なサービスが参入すること自体はよいこと
もう一つ、今回良い機会ですので、
少し違う観点からの考え方も紹介しておきたいと思います。
今回のように新たなサービスが業界に参入してきたときに
それを根付かせることができるかどうかというのは
ある意味で業界にとっての試金石だと考えています。
少し大袈裟かもしれませんが、
新規参入してくるサービスや価値観をうまく取り入れて成長できるか、
拒んで跳ね返してしまうのか、業界としての度量が試されている機会とも
捉えることができるのではないでしょうか。
思えば、動物向けの保険や、動物病院向けの電子カルテなども
最初は「そんなことは動物病院業界では実現不可能だ」とか
「そんなものは動物病院業界では不要だ」とか、
様々な批判や雑音の中でスタートしましたが、
当事者が志をもって進めてきた結果、
そして理解のある利用者が積極的に活用して広めてきた結果
この業界に一定の地位を築くまでになりましたよね。
ですがその一方で業界からの拒否反応に会い、
撤退を余儀なくされた業者やサービスもたくさんあります。
(もちろん単純な業者の力不足やニーズとのミスマッチも
あったとは思いますが)
動物病院業界が新規参入する業者やサービスを
強く排除し続けたとしたら、
以下のような悪循環が起きると私は考えています。
① 動物病院業界が新規参入する業者やサービスを排除し続ける
↓
② 動物病院業界は金にならない、ビジネスがしづらいという印象がつく
↓
③ 新規参入を考える企業や、転職を考える優秀な人材が入ってきづらくなる
(市場としての魅力の低下、働く場所としての魅力の低下)
↓
④ 新規サービスや異業種の考え方が入ってきづらくなり、
他の業界では当たり前に定着しているのに、
動物病院業界では定着していないといったものが増える
↓
⑤ 一部の業者の偏った価値観が業界の常識のようになったり、
飼主様目線を欠いた業界内のロジックが幅を利かせるなどして
いわゆる業界のガラパゴス化(独自進化)が進んでしまう
↓
⑥ ②~⑤を繰り返す(悪循環)
動物病院業界が上記のような悪循環に陥ってしまうことは
業界の将来を考えてもあまり良いことだとは思えません。
無論、全ての参入者を安易に受け入れるべきということではなく
コンプライアンス上の問題があるとか、動物福祉に反するとか、
あるいはその業者自体を使うことで動物病院業界全体の
価値が下がってしまうような場合は
しっかりと拒絶しなくてはいけません。
しかし基本的には様々な企業や人材が「参入したい」と思える
ような業界であり、参入してきた企業や人材をうまく活用する
ことは、動物病院業界の将来にとって大切なことなのでは
ないかなと、考えています。
伸びている業界は「市場」としても「働く場所」としても
魅力的なので、多くの周辺サービスや人材が流入してきます。
ペット市場の縮小など逆風も多いですが
動物病院業界が市場としても、働く場所としても魅力的であれば
多くの企業や人材が興味を示し、優良な企業や優秀な人材が
どんどん流入して新しいサービスやビジネスモデルが生まれ、
業界として生き残っていくことができるのではないでしょうか。
そのような考え方から私は、基本的には
「動物病院業界に様々なサービスが参入すること自体はよいこと」
と考えており、人材紹介サービスもその例外ではありません。
(余談ですが、弊社の競合となりうるコンサルティング会社や
サポート会社が新規参入してくることすらも
私は割とポジティブに捉えています^^
多様な考え方が流入し、選択肢が増えた方が、
動物病院業界にとってはプラスだと考えているためです)
動物病院業界が、業界の外から見たときに
市場としても働く場所としても魅力的なものであればいいなと、
業界の片隅でお仕事をさせていただいている者として思います。
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長文にお付き合いいただきありがとうございました。
今年は業界全体で人材紹介サービスへの関心が高まるとともに、
その一方で様々な憶測や不安も渦巻いた年だったと感じましたので
年の最後に私なりの捉え方、考え方を記してみました。
今年も残り数時間となりました。
あらためて本年中のご厚情に感謝申し上げます。
また来年もどうぞよろしくお願い致します。
年末年始もお仕事だという先生方も多いこととと存じます。
一際寒い年末年始になるようですのでどうぞご自愛いただき、
良いお年をお迎えください。
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動物病院経営パートナー En-Jin 企業理念
1.院長先生の想いを推進する「エンジン」に
ノウハウや理屈を教えるだけではなく実務を推進。
「やりたいこと」を形にします。
2.動物病院のメンバーが「円陣」を組めるように
病院全体がイキイキと同じ方向に進めるよう、
スタッフマネジメントをサポートします。
3.動物病院に多くの出会いをもたらす「縁人」に
飼主様・スタッフ・外部専門家などとのご縁をつなぐ
架け橋になります。
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