動物病院経営パートナーEn-Jin ブログ
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おかげさまで10周年 ― 感謝と、これからのこと
カテゴリ: En-Jinからのお知らせ
こんにちは、エンジンの古屋敷です。2026年5月、株式会社エンジンならびに動物病院経営パートナーEn-Jinは創業10周年を迎えることができました。ここまで歩んでこられたのは、日頃より当社を信頼し、お付き合いくださっている動物病院の院長先生・スタッフの皆様、ペットリクルートや動物病院 事業承継 M&Aナビをご利用いただいている皆様、そしてこの動物病院業界で共に汗を流してくださる関係各社の皆様のおかげにほかなりません。心より御礼を申し上げます。
節目にあたり、この10年で私が見てきたこと、そしてこれから先に思うことを、少し書き留めておきたいと思います。
動物医療の普遍的な必要性を感じた10年
創業からの10年を振り返ると、その途中には、世の中を大きく揺るがしたコロナ禍がありました。多くの業界が先の見えない不安の中にあった時期でも、この動物病院業界は比較的元気であり続けたように思います。むしろ様々な活動や娯楽が制約される中で、動物を飼うことに癒しを求めた人も多くいましたし、その分動物病院も忙しかった時期かと記憶しています。人と動物との暮らしは、社会がどれほど揺れ動いても止まることがない ― そこに、動物医療というものの普遍的なニーズを、あらためて強く感じさせられました。
一方で、他の業種と比べると、この業界の市場規模は決して大きくありません。だからこそ、動物病院業界には大手企業が参入しづらく、中小の事業者が多いという特徴があります。この仕事をしていると、医療機器や薬品のメーカーはもちろんのこと、電子カルテ、予約システム、人材紹介、オンライン診療など、実にさまざまな企業様が、動物病院とのつながりを求めて当社にご連絡をくださいます。
そのなかには、動物病院や院長先生に寄り添い、本気でこの業界を良くしようと親身になって取り組んでいる方々もいれば、残念ながら業界のことをよく理解していなかったり、動物医療の仕事を軽く考えている方々もいるなというのが率直な印象です。この10年の間に、いつの間にかこの業界から姿を消してしまった人や企業も少なくありません。動物病院や院長先生にとって心から信頼でき、お金を払う価値があると感じられるような質の高い商品やサービスを継続して提供できる人や企業が業界に根付いてくれることを願っていますし、そういう企業でないとこの業界には残れないのだろうな、ということを考えさせられた10年でもありました。
「人」をめぐる課題と、当社のスタンス
今、この業界を語るうえで避けて通れないのが、慢性的な人材難の問題です。多くの動物病院にとって人材の確保は重要な課題であり、だからこそ求人や人材紹介の業者も乱立していますし、その周辺でのトラブルなどの事案もよく耳にします。人材紹介会社に言われるまま就職を決めてしまい、後になって後悔される求職者の方もいれば、人材紹介会社と動物病院との間で、損害賠償訴訟にまで発展してしまったというケースを耳にすることも、最近では珍しくなくなりました。
当社が運営する求人サイト「ペットリクルート」は、こうした状況のなかで、開設当初から一貫して一つの理念を掲げています。それは「自分の道は、自分で決めよう、自分で探そう」というものです。求職者の方が、自らの手で情報を探し、自らの脚で自分に合った職場を見つける ― そのお手伝いをしたい。だからこそ、掲載は完全無料、採用後の成功報酬も一切いただかず、強引なあっせんやしつこい営業も行いません。
私が大切にしたいのは、求職者の方が主体性をもって、自らの進路を自らの手で切り開いていくということです。多くの院長先生もまた、かつてはそうやってご自身の道を選んでこられたはずです。就職活動というのは、単に職場を決めるだけの作業ではありません。悩み、迷い、自分の脚で探すその過程を通して、人は人間的にも大きく成長していくものだと思います。人材紹介の便利さと引き換えに、そうした貴重な経験の機会までも手放してしまうのは、あまりにもったいないことです。
派手なやり方ではありませんが、当社はクライアントの動物病院のサポートやペットリクルートの運営を通して、これからも「自分の道は、自分で決めよう、自分で探そう」という理念に基づいて愚直にサービスを提供していきたいと考えています。
事業承継・M&A、これからの業界の在り方
近年、この業界には事業承継やM&A、いわゆる「ロールアップ(統合)」の波が確かに押し寄せています。かつては、動物病院経営の出口といえば、ご子息や勤務医の先生に譲るか、さもなくば廃業するか ― そのどちらかしか道がない、というのが実情でした。それが今では、第三者への承継やM&Aという選択肢が加わり、院長先生が病院の未来を託す道は、大きく多様化してきています。当社が運営する「動物病院 事業承継 M&Aナビ」にも多くのご相談が寄せられ、実際に事業承継をサポートさせていただいた例も、着実に増えてきました。
一方で、出口が多様化したということは、そこに玉石混交の業者が入り込む余地が生まれたということでもあります。院長先生にとっては、選択肢が増えたぶんだけ迷いも多く、誰に相談すればよいのか判断に悩まれる時代になりました。実際、これまで「動物病院 事業承継 M&Aナビ」にご相談くださった院長先生のなかにも、過去に他の業者へ仲介を依頼してトラブルになってしまった、あるいは病院を売却したこと自体を後悔されている、というケースがありました。人生をかけて築いてこられた病院の行く末だからこそ、誰に託すかで結末は大きく変わってしまう ― そのことを、ご相談を通じて痛感しました。だからこそ当社では、動物病院業界の経験が豊富な専門家の方や企業様と連携を取り、透明性が高く、どこに出しても恥ずかしくない ― そう胸を張って言える事業承継・M&Aを提供できるよう、これからも努めていきたいと考えています。
また、人間の医療の世界で街の開業医が今も残り続けているように、地域に根ざした「街の動物病院」も、当面はしっかりと残り続けるだろうと私は考えています。大きな流れと、地に足のついた営みと。その両方が共に栄えていく業界であってほしいと願っています。
日本は「ペット後進国」なのか
今でも日本は「ペット後進国」だと言われることもあります。例えば、生体販売の問題、殺処分の問題、しつけや動物虐待の問題など確かに日本のペットを取り巻く環境は決して完ぺきではなく、見る人が見れば「ペット後進国」と言いたくなる側面もあるのかもしれません。一方で、現場で飼主様と接していて実感するのは、飼主様がペットをかわいがる熱量や、家族同然に大切に扱おうとする姿勢が、年々確かに強くなっているということです。日本において、ペットは「飼っている動物」から「共に暮らす家族」へと、間違いなくその位置づけを変えつつあり、医療的にもできることは全てしてあげたいという熱心な飼主様が確実に増えています。少なくともペットへの想いの大きさということに関していえば、日本は他国と比較しても引けを取らないし、「ペット後進国」などではないと私は考えています。
ご存じの通り、人口減少、少子高齢化の波の中でペットの飼育頭数は減少しつつあります。しかし、大切な家族の健康のためなら手を尽くしたい ― そう願う飼主様が増えていくほど、より良い医療やより手厚いケアへのニーズは自ずと広がっていきます。これほど利用者の想いが濃く、支えることに手応えを感じられる業界は、そう多くありません。だからこそこの動物医療の業界は、関わる者にとって本当にやりがいのある世界だと、私は10年を通じて感じ続けてきました。
同時に、飼主様の目が肥え、想いが深くなるということは、動物病院もまた「選ばれる」時代に入ったということでもあります。だからこそ、私の仕事も、そうした飼主様に選ばれていく動物病院を支えるものでなければならないと、身が引き締まる思いです。
AI化の波のなかで、できること、求められること
そしてもう一つ、今後の業界を語るうえで避けて通れないのがAI化の波です。
好むと好まざるとにかかわらず、AIの登場によって、私たちは人類史のなかでも大きなターニングポイントを迎えていることは間違いありません。いつか教科書に「AI登場以前」「AI登場以後」と書き分けられる ― そんな瞬間を、私たちは今まさに生きているのだと思います。ならばこそ、その変化から目を背けるのではなく、この時代を生きている一人としての自覚をもって、しっかりとキャッチアップしていく必要があると私は考えています。
私は、人間にできることのほとんどは近いうちにAIにもできるようになるだろうと考えています。「AIは温かみがなく、情緒的なことが苦手だ」というのは、すでに過去の話です。かつて「人間らしさ」の象徴とされてきた、アイディアを出すこと、絵を描くこと、音楽を作ることさえ、いまやAIは人間と遜色なくこなすようになりました。
動物病院の現場でも、最新の論文からエビデンスを提示したり、画像診断を行ったりといったことが、かなりの精度でできるようになっています。フィジカルAIやロボティクスの発達によって、これまで人の手に委ねられてきた手技の分野も、今後は急速に発展していくでしょう。今、こうやって書いていることすらも数か月後には随分古臭い物言いになっているのだと思います。
では、今後もAIにできないことがあるとすれば、それは何か。強いて言うのであれば、それは「人間である」ということだと思っています。さらに言えば、人間がAIに勝てることがあるとすればそれは「人間であること」くらいになっていくのではないでしょうか。
たとえAIにどれほど優れた知識や技術があっても、それを利用する人の多くが「この仕事はAIではなく、人間に頼みたい」と感じるのであれば、その仕事は長く残っていくはずです。そして、その仕事のなかでも「この人に頼みたい」と選ばれるような人こそが、長く生き残っていくのだろうと思うのです。これは動物病院のお仕事についても言えることですし、私のような動物病院をサポートを仕事にするような者についても言えることです。
単なる「コンサルタント」ではなく「パートナー」であり続けるために
私自身も、動物を飼っています。
ときに「ペットブーム」という言葉が使われることもありますが、考えてみれば、人類は大昔から動物を飼ってきました。そして世の中がこれほどまでに移り変わった今でも、私たちは変わらず動物と暮らしています。動物を愛おしく思う気持ち、動物と暮らして癒される喜び、そして大切な動物に健康で幸せでいてほしいと願う心 ― それらは、一時の「ブーム」などとは無縁の、人間として普遍的な思いなのだと私は考えています。動物を飼うということそのものに根源的な魅力があるからこそ、人はこれほど長く動物とともに歩んできたのでしょう。それは動物に接したことがある多くの方に共感していただけるのではないかと思います。
そして、その暮らしに寄り添う獣医療のお仕事は、人類がいる限り、これからも必要とされ続けていく仕事だと確信していますし、誰にでも誇れる、素晴らしいお仕事だと心から尊敬しています。その仕事を自分なりに支えたいという気持ちで、私は10年前にこの会社を始めました。
先ほどAI化の話をしましたが、いわゆる「コンサルティング」という仕事は、AIに取って代わられる典型的な仕事です。問いに対して一般的な答えを返す、という能力においては、今のAIはすでに、世界中のどのコンサルタントよりも優秀だと言ってよいでしょう。だとすれば、私が果たすべき役割は何なのか、それを考え、行動し続けていくことこそがこれからの当社の課題になるのだと思います。
「動物病院経営パートナーEn-Jin」という名称には、院長先生の想いを推進する「エンジン」であり、動物病院のメンバーが「円陣」を組めるように、そして多くの出会いをもたらす「縁人」でありたい、という願いを込めています。10年前にダジャレのような感覚でつけたネーミングですが笑、今振り返ってみるとなかなかいい名前だったなと自画自賛してしまいますし、その想いは10年経った今でも変わっていません。そして単なる「コンサルタント」ではなく、動物病院の院長先生にとって経営の喜びも悩みも分かち合える「パートナー」でありたい ― という想いも今後も変わらないでしょう。
小さな会社ですのでできることに限りはありますが、これからも、皆様のパートナーであることを目指して、力を尽くしてまいります。
引き続き、株式会社エンジン、動物病院経営パートナーEn-Jinをどうぞよろしくお願いいたします。
改めまして、10年間、本当にありがとうございました。
株式会社エンジン
代表 古屋敷 純



