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少しでも皆様の参考としていただけるよう、
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【シリーズ 動物病院のワークライフバランス】 第1回 医療労務コンサルタント研修を受講して


  • カテゴリ:ブログで動物病院経営セミナー(ウチ向きの課題)


今回からは
【シリーズ 動物病院のワークライフバランス】と題して
数回に分けて、動物病院の人事労務、評価制度、メンタルヘルス、
助成金・補助金などについての情報をお伝えしたいと思います。

 

このテーマについて書きたいと思ったきっかけは、
先日、社労士会主催の「医療労務コンサルタント研修」を受講したことです。

 

代表プロフィールにも掲載している通り、
私は社会保険労務士(社労士)の資格を保有しています。

「社労士って何?」という方も多いと思いますが、
簡単に言うと「人事労務の専門家」のことです。

雇用契約、就業規則、評価制度、人事トラブル対応などに
精通しているほか、給与計算や社会保険の実務なども担います。

社労士と顧問契約をしている動物病院も最近は増えてきています。
(私自身は人事・労務に限らず、動物病院の経営全般をサポートしています)

 

そして社労士も獣医師と同じように「社労士会」という業界団体があり、
日々、各種研修や勉強会などを開催しています。

私もそういった研修にしばしば参加していますので、
動物病院を経営していらっしゃる皆様に役立つ情報を
ブログでお届けしていきたいと考えたわけです。

 

<こんな研修に参加してきました!>


今回私が参加してきた研修は「医療労務コンサルタント研修」
11/14,15の2日間にわたって開催され、
100名以上の社労士が参加しました。

医療労務コンサルタント研修の様子
医療労務コンサルタント研修の様子

この研修には、社労士の中でも医療機関の労務に携わっている方や
これから携わりたいと考えている方が多く集まりました。

私は日々社労士としての業務にどっぷりと浸かっているわけではなく、
動物病院の経営サポートのお仕事をする中で社労士としての知識を
活用しているという感じですので、「社労士」として独立されている
生粋の(?)先生方と交流をすることも楽しみに受講しました。

<研修の総括>


結論を述べると、今回の研修は非常に勉強になり、
2日間参加した価値が十分にありました。

・国(厚労省)や医師会や日本看護協会から
従業員の勤務環境改善のための取組進捗報告

・医療機関をクライアントとして活躍されている
社労士の先生方から、医療機関の勤務環境改善の
具体的な手法やスタンスについての話

・参加した社労士同士でケーススタディ

などなど、お世辞抜きに内容の濃い研修だったと思います。

<強く感じた2つのこと>


そしてこの研修全体を通して
私が強く感じたのが以下の2つのこと。

 

1.人医療業界と動物病院業界の人事労務上の共通点は多い!


 

これ、実は私も正直半信半疑だったんです。
人の医療には診療報酬制度というカラクリがあったり、
看護師が国家資格だったり、
病院内に人事部門(事務職)があることが当たり前だったり、
動物医療の世界とは異なる点がたくさんあります。

なので、研修を受講した結果
「やっぱり医療機関と言っても人と動物では全然違うわ。
あんまり参考にならなかったな」
となってしまう可能性も覚悟のうえで、研修に参加しました。

ところが!

参加してみてまず感じたのは
「人の医療の世界と動物病院業界は労務的にも共通点だらけ!」
ということでした。
  • ・慢性的医師不足・看護師不足
  • ・資格職のため離職率が高い(開業とか転職とか気軽にしやすい)
  • ・退職時にもめることがしばしばある
  • ・業務の性質上、労基法の遵守が現実的に困難(応召義務との兼ね合い)
  • ・女性の割合が増えており、女性の労働力の活用が急務
  • ・カンファレンスや学会の準備など業務と自己の時間の境界が曖昧な時間がたくさんある

ざっと思いつくだけでも
人の医療の世界と動物医療の世界の
人事労務にはこれだけの共通点があります。

ということは、
人医療の人事労務から学べることが
たくさんあるということ。

あらためて人医療の世界は
ウォッチし続けなければならないと感じました。

 

2.動物病院業界の人事労務面はまだまだ未整備!


次に、ある程度覚悟していたことではありますが、
研修で人の医療機関の組みについて学べば学ぶほど、
「人医療の世界に比べて、動物病院業界の人事労務面はまだまだ未整備」
だということを痛感させられました。

(1)情報ギャップ

まず痛感したのは人事労務に関する情報ギャップ。

例えば労働関係法令のルールや、人事トラブル時のポイント、
直近の裁判例や、人事労務関連の助成金などなど、、、
ヒトのお医者さんは実によくご存じだなと感じました。
国や業界団体の勉強会や、周辺業者やコンサルタントなどから
入る情報の量が動物病院業界とは雲泥の差だということなのでしょう。

ヒトの医療の世界では、たとえば
「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」とか
「看護師の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」とか
いった資料が、医師会や看護協会から配布されていたりします。

動物病院業界でも、
最近は大きな学会で人事労務のテーマの講演があったり、
動物病院向けに情報発信をされている弁護士や社労士の
先生方も増えてきていますが、
医療の業界と比較すると、
まだまだ「情報が入らない」もしくは
「情報を手に入れるために高いお金がかかる」
業界であることを感じさせられました。

 

(2)実行力ギャップ


次に感じたのは実行力のギャップ。

私が研修中にお話ししたある社労士の先生は
医療機関で事務長としてお勤めで
社内の日々の人事労務管理はもちろんのこと、
経営者の命を受けて、労働時間短縮のプロジェクト
に取り組まれているとのことでした。

そう、ヒトのお医者さんの世界では、
社会保険労務士などの専門家を
自社の人事スタッフとして雇うことが
決して珍しくないのです。

一方で、これは動物病院業界ではまだまだ珍しいことです。

動物病院業界では、その利益構造や事業規模から、
人事部門を独立して設けることが現実的でないケースが多く、
例えばスタッフの評価制度を作成・運用したり、
勤務環境の見直しをして結果をトレースするというような
人事施策が「やりたくてもできない」とお悩みの病院が
少なくありません。

動物病院の院長先生方も
決して人事労務に無関心なわけではなく、これまでも
勤務環境を改善したいとお考えの先生にたくさん出会ってきました。

しかしそれを実行に移すだけの時間や労力が足りない、
という現実が大きなハードルとなっているのです。

私もこのような仕事をしている以上、
動物病院業界と他の業界との
情報ギャップや実行力ギャップを
少しでも埋めるお手伝いができればと
感じずにはいられませんでした。

そしてその目的に合致するのであれば、
私が得た情報は包み隠したり小出しにするのではなく、
会員様へのコンサルティングはもちろんのこと、
ブログや無料相談などでも
極力オープンに発信していければと考えています。

 

ということで次回以降、
「医療労務コンサルタント研修」で学んだことに、
私なりの肉付けや考察を加えながら
数回に分けて、
動物病院の人事労務、評価制度、メンタルヘルス、
助成金・補助金などについてお伝えしたいと思います。

お付き合いいただければ嬉しいです^^

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動物病院経営パートナー En-Jin   企業理念


1.院長先生の想いを推進する「エンジン」に
ノウハウや理屈を教えるだけではなく実務を推進。
「やりたいこと」を形にします。

2.動物病院のメンバーが「円陣」を組めるように
病院全体がイキイキと同じ方向に進めるよう、
スタッフマネジメントをサポートします。

3.動物病院に多くの出会いをもたらす「縁人」に
飼主様・スタッフ・外部専門家などとのご縁をつなぐ
架け橋になります。

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愛媛県での獣医学部の新設がいよいよ現実的に


  • カテゴリ:動物病院経営 関連ニュース


すでにご存じの方も多いと思いますが、
11月9日、内閣府に設置された諮問会議が
獣医師系養成学部の新設を可能とするよう
関係制度改正を直ちに行うということを決定しました。

 

愛媛県今治市は従来より獣医師系学部の新設を悲願としており、
この決定を受けて2018年4月の開学へ向け誘致を急ぐとのことです


2016.11.10 毎日新聞ニュース

 

獣医学部は現在非常に人気が高いため、
開学が実現すれば獣医学生が全国から集まることになるでしょう。

 

これは果たして動物病院業界にどのような影響を与えるのでしょうか?
獣医師の先生方はこのニュースをどのように受け止められましたか?

 

短期的に見れば、求人がしやすくなるなどのメリットはあるかもしれません。
しかし長期的に見たときには、決してメリットばかりではない気がしています。


 

 

以前このブログの「【シリーズ】動物病院のいま」でも何度も書いた通り、
現在は日本における動物飼育頭数が減り続けているにもかかわらず
獣医師数も動物病院数も増え続けているというのが現状です。

 

それを踏まえてシンプルに考えるならば、
これ以上の獣医学生の増加は動物病院業界の競争激化を助長する、
と考えざるをえないのではないでしょうか。


 

実はこれに対しては日本獣医師会も同様の見解を示しており、
長年にわたって、特区による獣医学部新設には
「反対」の立場をとっています。


日本獣医師会「『特区提案』による大学獣医学部の新設について」

 

弁護士、会計士、歯科医師などは
すでにその過剰問題が社会問題化しているところです。
そして様々なデータを見る限り、
獣医師(特に小動物臨床)の世界においても
供給過多の問題は決して他人事ではない
と思います。

 

今後の獣医学部新設の動き、
そしてそれが動物病院業界に与える影響については、
今後も注視していきたいと思います。
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動物病院経営パートナー En-Jin

<企業理念>
1.院長先生の想いを推進する「エンジン」に
ノウハウや理屈を教えるだけではなく実務を推進。
「やりたいこと」を形にします。

2.動物病院のメンバーが「円陣」を組めるように
病院全体がイキイキと同じ方向に進めるよう、
スタッフマネジメントをサポートします。

3.動物病院に多くの出会いをもたらす「縁人」に
飼主様・スタッフ・外部専門家などとのご縁をつなぐ
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【シリーズ 動物病院のいま】 第5回 業界動向よりも大切なこと


  • カテゴリ:ブログで動物病院経営セミナー(ソト向きの課題)


全5回でお送りしている
「【シリーズ】動物病院のいま」。

これまで日本経済の動向、ペット市場の動向、
動物病院や獣医師の動向などを見てきました。

最終回の今回は、
これまで見てきた業界動向を踏まえつつ、
これからの動物病院に求められることを
皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

1.動物病院の業績の「二極化」

これまで4回のブログでは、
繰り返し以下のトレンドに触れてきました。

・人口   ⇒減少傾向
・飼育頭数 ⇒減少傾向
・獣医師数 ⇒増加傾向
・動物病院数⇒増加傾向


このようなトレンド(流れ)が続くと
いったいどのようなことが起こるでしょうか。

単純に考えると、動物病院どうしの競争が激化し、
多くの病院の業績が低下することが予想されます。

しかし、実際には話はそれほど単純ではありません。

確かに近年売り上げが低下している
動物病院が増えています。
また新たに開業する病院は特にその影響を受けていて、
かつてに比べると開業してからの売上の伸び方が
鈍化する傾向にあります。

しかしその一方で、
売上を維持したり、伸ばしている病院も
決して少なくはないのです。


これはいわゆる「二極化」という現象です。
動物病院業界に限らず、近年の国内市場では、
二極化の傾向が見られる業界が増えています。

なぜこのようなことが起きるのでしょうか。

業績の二極化の要因として見過ごせないのは
「飼育頭数が減りつつも、ペットの飼い主
ひとりあたりが獣医療に使うお金は増えている」
という事実です。

(詳細は前回のブログをご参照ください)

ペット文化の成熟、ペットの長寿化、
獣医療の高度化などにより、
ペットを飼っている方は、
かつてよりも獣医療にお金をかける傾向があります。
そのため、そのような飼い主が通う動物病院では、
飼育頭数の減少にもかかわらず
売上を維持・向上することができているのです。

この傾向をよく見極めて手を打っていくことこそが、
これからの動物病院の活路となると私は考えています。

2.動物病院の「来院頭数」と「売上」の関係

もう少し詳しく見ていきましょう。

動物病院の「来院頭数」と「売上」の関係は
大きく以下の4通りに大別することができます。

A. 来院頭数「増」、売上「増」

B. 来院頭数「増」、売上「減」

C. 来院頭数「減」、売上「増」

D. 来院頭数「減」、売上「減」

◆来院頭数×売上 マトリクス図
来院頭数×売上

もちろん最近でも、「A」のように
来院頭数、売上ともに伸びている動物病院もありますが、
ペットの飼育頭数が減って、動物病院数が増えている現状では、
「A」の状態を維持することは必然的に困難になります。

そこで、「C」のように
来院頭数が減少する中でも売上を伸ばすために何ができるか
を考えることが大切になってきます。


単純に値上げをするというだけではなく、
自院の強みをどれだけ掘り下げられるか、
飼主様にいかに獣医療に関心をもっていただき
潜在的なニーズに呼びかけていくことができるか などなど。

そのようなことをいかに考え、実行できるかが
飼育頭数減少時代の動物病院にとって
非常に大切なことだと思います。

3.動物病院の「売上」と「利益」の関係

ここでひとつ、別の観点から問題提起をしたいと思います。

果たして、
売上を伸ばすことだけが、
動物病院の成功なのでしょうか?


動物病院の「売上」と「利益(=売上-費用)」の関係も
以下の4通りに大別することができます。

a. 売上「増」、利益「増」

b. 売上「増」、利益「減」

c. 売上「減」、利益「増」

d. 売上「減」、利益「減」

◆売上×利益 マトリクス図
売上×利益

「売上が増えるに越したことはない」と考えがちですが、
売上を伸ばすために費用(仕入れや人件費など)が
かさみ過ぎると、
「b」のように
売上は増えているのに利益は減少する
という状況になってしまいます。
(これは決して珍しいことではありません)

一方で、「c」のように
売上自体は減ったとしても、
上手にコストカットをすることにより
利益率の高い経営をすることも可能です。
(これも珍しいことではありません)

ただがむしゃらに売上を増やそうというのではなく、
自院をどのような動物病院にしていきたいのかをよく考え、
売上と利益の関係を見ていくこともまた、
これからの動物病院運営に不可欠なことだと思います。


 

4.自院の(院長先生の)ゴールは何か?

これまで動物病院業界の動向を見てきたうえで
このようなことを書くのは
少し逆説的かもしれませんが、

業界動向や時代の流れを気にすることよりも
自院の強みや弱み、
そしてその動物病院がある地域のペット文化の成熟度、
人口やペット数の増減、競合病院の特徴などを踏まえたうえで
院長先生がご自身の動物病院をどのようにしていきたいのかを
よく考えられることが、何よりも大切だと私は考えています。


私がこれまでにサポートさせていただいてきた動物病院でも、
方針や目標は実に様々です。

「来院数、売上ともにできるだけ伸ばしていきたい」
「来院数は減ってもいいので、売上は現状を維持したい」
「来院数、売上ともに少しずつ縮小化していきたい」
「売上や利益は度外視してもいいから、
地域貢献や動物愛護に力を入れたい」

これらすべての考え方が“正解”であり
その病院にとっての“ゴール”だと思います。


「【シリーズ】動物病院のいま」と題して
ペット業界、動物病院業界の動向を見てきましたが、
その情報に振り回されるのではなく、
自院やご自身の考え方と向き合っていただくための
ひとつの材料とするのが
ちょうどよいスタンスなのではないかと思います。

そしてこのブログがそのきっかけになるのであれば、
これほど嬉しいことはありません。

————————————————
私は(当社は)、動物病院の運営をサポートする立場として
「これをしておけば大丈夫」と特定の手法を押し付けたり、
自社の考え方やノウハウにとらわれすぎることのないように
気を付けたいと常々考えています。

それは上述した通り、
動物病院の数だけ、院長先生の数だけ、
目指すべきゴールがあると考えているからです。

当然売上を上げるための様々な手法はありますが、
その一方で
「商売的ないやらしさは出したくない」
「うさんくさく見られるのは避けたい」
「近隣の病院や獣医師会でのお付き合いもないがしろにしたくない」
といった院長先生の声も大切にしなければならないと考えています。

また当たり前のことですが、私も含めて
コンサルタントは魔法使いでも予言者でもありません。

私に院長先生や動物病院をサポートできることがあるとすれば、
それは先生の考え方や病院の向かう方向性を整理するお手伝いをし、
そのために必要となることを柔軟にご提案し、
そしてそれを机上で論じるだけではなく
実行にいたるまでの実践的なサポートをすることだと考えています。


軒並み動物病院の業績が伸びていた時代は終わりを迎え、
明確な飼育頭数減少時代に突入しています。
それでもなお、動物を飼うことの普遍的な魅力は存在し続け、
それを支える動物病院も必要とされ続けると私は考えています。

動物病院の進む方向性がますます多様化する中で、
当社も常に学び続け、そして悩み続けることを大切にし、
実践的なサポートをしていければと考えています。

最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました。

これからも少しでも皆様の参考になる情報を
お届けしていきたいと思います。

<【シリーズ】動物病院のいま 過去のエントリ>

第1回 「業界動向」との向き合い方を考える

第2回 日本経済のいま

第3回 ペット市場のいま

第4回 獣医師のいま

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動物病院経営パートナー En-Jin
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1.院長先生の想いを推進する「エンジン」に
ノウハウや理屈を教えるだけではなく実務を推進。
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2.動物病院のメンバーが「円陣」を組めるように
病院全体がイキイキと同じ方向に進めるよう、
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代表 古屋敷 純
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【シリーズ 動物病院のいま】 第4回 獣医師のいま


  • カテゴリ:ブログで動物病院経営セミナー(ソト向きの課題)


全5回でお送りしている

「【シリーズ】動物病院のいま」。

前回までは
日本の経済動向やペット市場の現状を見てきました。

今回は「獣医師のいま」と題して、
獣医師や動物病院の現状について見ていきたいと思います。

1.動物病院数の推移

犬や猫の飼育頭数が減少傾向にあることは
前回までのブログで触れた通りです。
今回はまず、動物病院の数がどのように
推移しているのかを見てみましょう。

動物病院数の推移
農林水産省「飼育動物診療施設の開設届出状況」

皆さんの実感としても
「最近動物病院が減ったなあ」という方は少なく
「また新しい動物病院ができているなあ」という方が
多いのではないでしょうか。

グラフの通り、
データ上でも動物病院の増加傾向が見て取れます。

地域によって若干の差はありますが、
全国的に増加傾向にあります。

・飼育頭数 ⇒減少傾向
・動物病院数⇒増加傾向


という大きな傾向はしっかり押さえておきたいですね。

※念のため農林水産省に確認したところ、
廃止届が提出された病院は上記の数からは
差し引かれているとのことでした。

2.獣医師数の推移

次に獣医師の人数の推移です。
今回は産業動物や公務員に従事する方は除いて、
動物病院で働いている先生方のみを見ていきます。
(院長、勤務医にかかわらずカウントされています)

個人診療施設(犬猫)で獣医事に従事する人数
農林水産省「獣医師の届出状況」

これは農林水産省が2年ごとに統計を取っているデータですが、
動物病院(個人診療施設)で働いている獣医師の数は
ここ最近も増加傾向にあることがわかります。

なお小動物臨床に従事している獣医師は
獣医師免許保有者のうち約40%を占めています。

次に毎年国家試験に合格して
獣医師になる方の数の推移です。

獣医師国家試験 合格者数
農林水産省 「獣医師国家試験の結果について」

グラフを見ると、
2015年こそ若干合格者数が減りましたが、
概ね1000名前後で推移していることがわかります。

動物病院での獣医師(特に院長先生)は、
明確な「定年」が存在しないお仕事ですので、
毎年獣医師になる人の数(合格者数)が変わらない現状では、
全体数は基本的に増加傾向を示すと考えられます。

またご存知の通り、
現状では大学の獣医学科の人気は非常に高く、
「獣医師のたまご」も、当面減少する見込みはありません。

大学の定員や合格者数が大きく変わらない限りは、
今後も獣医師数は増加傾向にあると考えてよいでしょう。



3.新卒獣医師の就職先の推移


では、国家試験に合格した新卒獣医師たちの進路は
どのようになっているのでしょうか。

獣医大学卒業者の就職状況の推移
農林水産省「平成28年4月 獣医事をめぐる情勢」

農林水産省調べの最新のデータによると、
近年では小動物臨床に進む卒業生が若干減少し、
公務員に進む卒業生が増えているのがわかります。
将来の景気に対する不安も大きく影響しているのでしょう。

この傾向を見て
「将来のライバルが減る」と捉えることもできますが、
一方で「動物病院の求人」の側面から見ると、
非常に頭の痛い問題です。

増加している動物病院が、
減少している就職志望者を
取り合う構図になっており、
典型的な「売り手市場」だと言えます。

勤務医の雇用や後継者探しをしたい動物病院にとっては
厳しい時代だと言っていいでしょう。

4.獣医師の男女比率

最後に動物病院で働く獣医師の男女比率を見てみましょう。
農林水産省が男女比率の公表を始めたのが2014年からですので、
2014年と2016年のデータを見たいと思います。
(調査は2年に1度のため、2015年のデータはありません)

2014個人診療施設(犬猫)の獣医師の男女比
2016個人診療施設(犬猫)の獣医師の男女比
農林水産省「獣医師の届出状況」

グラフを見ると、

・現在、動物病院で働く獣医師の男女比はおおむね 2:1
・やや女性が増加する傾向にある

ということがわかります。

現在の獣医学生は実に約半数が女性ですので、
今後獣医師の女性比率はますます高くなることが予想されます。

実際に当社の会員の動物病院様でも
女性勤務医の割合が高い病院も多いですし、
産休や育休を活用するママさん獣医師も
随分と増えてきたなと実感します。

一方で農林水産省の発表によると、
実に6%の女性獣医師が獣医療を離れている
というのが現状です。
今後女性獣医師の割合が増えていく中で、
いかに女性獣医師が長く活躍できる体制を
作るかということは、動物病院業界全体の
課題のひとつだと言えるのではないでしょうか。

————————————————————————-
今回は最も身近である
動物病院や獣医師の動向について見てきました。

飼育動物が減少傾向にある中での

・動物病院数の増加傾向
・小動物臨床の獣医師の増加傾向

というデータは、すなわち
1病院あたりの動物数、1獣医師あたりの動物数が
減少し、供給過多になっていくことを示しています。

いわゆる「少ないパイの取り合い」に拍車がかかり、
この業界で激しい競争が当面続くことが推測できます。


また

・小動物臨床に進む学生がやや減少傾向
・獣医師の女性比率が増加傾向

というデータからは、求人・採用の工夫や
女性の活躍体制の整備も含めた雇用体制の充実が
求められる傾向がより強まっていくであろうことが
推測できます。


なお、求人の競争激化については
動物看護師やトリマーについても同様
で、
多くの病院が少ない志望者を取り合う
「売り手市場」の状況になっています。

例えば「新卒の男性獣医師しか採らない」とか
「専門学校を出た看護師しか採らない」いう方針で
長年やってきた動物病院があるとすれば、
その方針を一度見直すべき時期がきているのかもしれませんね。

ここまで4回のブログを通して、
日本経済からペット市場、動物病院や獣医師についての
現状把握と将来の展望を行ってきました。

では、そのデータをどのように受け止めて、
動物病院をどのように運営していくべきなのか。
次回、最終回のブログで私なりの考えを書いてみたいと思います。

<出典・引用・参考等>

農林水産省 飼育動物診療施設の開設届出状況


農林水産省 獣医師の届出状況

農林水産省 獣医師国家試験の結果について

農林水産省 獣医事をめぐる情勢(平成28年4月)
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動物病院経営パートナー En-Jin
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<企業理念>
1.院長先生の想いを推進する「エンジン」に
ノウハウや理屈を教えるだけではなく実務を推進。
「やりたいこと」を形にします。

2.動物病院のメンバーが「円陣」を組めるように
病院全体がイキイキと同じ方向に進めるよう、
スタッフマネジメントをサポートします。

3.動物病院に多くの出会いをもたらす「縁人」に
飼主様・スタッフ・外部専門家などとのご縁をつなぐ
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【シリーズ 動物病院のいま】 第3回 ペット市場のいま


  • カテゴリ:ブログで動物病院経営セミナー(ソト向きの課題)


全5回でお送りしている
「【シリーズ】動物病院のいま」。

前回は「日本経済のいま」と題して
日本の景況感のおさらいと将来の展望をしました。

今回は動物病院と密接に関係がある
「ペット市場」に目を向け、
現状の把握をしていきたいと思います。

私が動物病院の経営サポートのお仕事をしていることを
異業種の方にお話しすると、

いまだに

「ペットブームだし景気もいいでしょう?」
「少子高齢化でお年寄りがペットを飼うから
動物病院は儲かるんじゃないですか?」

という反応をされることが多いです。

きまって
「いえいえ、今はそんな楽な時代ではないんですよ」
という話をすることになります。

ペット業界の景気が良く見えるのは
おそらく、

・ペットを取り上げるテレビ番組などがとても多い
・スーパーなどでのペット関連グッズが充実している
・街で見かける動物病院が増えている
・猫ブームで世間が賑わっている

⇒「ペットの世界って景気が良さそう!」

となっているからだと思います。

でも実際には、、、

・ペットを取り上げるテレビ番組などがとても多い
⇒(現実は)動物を出すと視聴率が取れるというだけ

・スーパーなどでのペット関連グッズが充実している
⇒(現実は)商品の高級化や細分化が進んでいるだけで
市場そのものが大きく伸びているわけではない

・街で見かける動物病院が増えている
⇒(現実は)需要に対して供給が増えて競争が激化している

・猫ブームで世間が賑わっている
⇒(現実は)今のところブームの恩恵を受けているのは
写真集、猫グッズ、猫カフェなどが中心。
生体販売や動物病院へのプラスの影響は限定的

というのが私の実感です。

ここからは具体的なデータにも目を向けながら
ペット市場を見ていきたいと思います。

1.ペットの飼育頭数の推移

やはりまず確認しておきたいのは
日本で飼育されている犬や猫の頭数の推移です。

以下のグラフをご覧ください。

犬の推計飼育頭数

猫の推計飼育頭数
(一般社団法人ペットフード協会)

グラフをパッと見るだけでも
犬の飼育頭数は
はっきりと減少傾向にあることがわかります。
ピークの2008年に比べると
実に約24%も減少しています。

一方、昨今の猫ブームの影響もあってか、
猫の飼育頭数は「横這い」といったところですが、
それでも全体的には減少傾向と言っていいでしょう。

いまのところ猫ブームは、
グッズや関連本、猫カフェなどが恩恵を受けている段階であり、
生体数を大きく増加させるような
インパクトを与えるまでには至っていない
というのが実情でしょう。

もちろん地域によって若干の差はあると思いますが、
「犬は減少、猫は横這い」というトレンドは
おさえておきたいですね。


2.ペットの飼育意向の推移

次に以下のグラフを見てみましょう。
これは、一般社団法人ペットフード協会による
今後「飼いたい動物」についての
意識調査の結果です。

犬を飼いたい
猫を飼いたい
飼いたいペットがない
(一般社団法人ペットフード協会)

動物に関する仕事に携わる者としては
寂しい限りですが、
「ペットを飼いたい」という意向は
年々低下する傾向にあります。

犬を飼いたい人は顕著な減少傾向にあります。
猫を飼いたい人は2015年こそ少し持ち直しているものの、
ピーク時に比べると減少しています。

そして何より、
今後「飼いたいペットが何もない」という人の割合が
年々高くなっており、
半数以上の人がペットを飼うことに興味がない
という事実はおさえておく必要があります。

3.ペット離れの原因を探る

飼育頭数の減少や飼育意向の低下の
大きな原因としては
以下のようなものが考えられます。

(1)(人間の)少子高齢化

少子高齢化によるマーケットへの打撃は
ペット業界に限ったことではありませんが、
特にペット業界は

・高齢者がペットの面倒を最期までみることができない年齢になり、
「次の1頭」を飼わなくなる。

・子どもの減少により、
情操教育目的でペットを飼う人が減る。

という形で少子高齢化の影響を受けやすい傾向にあります。

(2)生活環境の変化

・祖父母と暮らす人の減少

・共働きの増加

・晩婚化

・集合住宅の増加(一戸建ての減少)

など、最近のライフスタイルでは
ペットを「飼いづらい」人が増えていると
言っていいでしょう。

「昼間誰も家にいないから」
「散歩に行く余裕がないから」

等の理由で
ペットを飼うことを検討できない人が
増えていることが推測されます。

(3)レジャーの多様化

いまやペットを飼うということは
単なる「レジャー」ではありませんが、
やはり他のレジャー(余暇の過ごし方)が多様化すると
相対的にペットを飼う人が減るのも事実です。

昔は誕生日やクリスマスに「ペットを飼ってほしい」と
親にねだる子どもも多かったと思いますが、
今はどうでしょうか?

インターネットやスマホのゲーム、
塾や習い事などに忙しい子どもが増え、
相対的にペットを欲しがる子どもが
減っているのかもしれません。
(皮肉なことに動物を飼う「ゲーム」は人気があるようです。)

もちろんレジャーの多様化は
子どもに限った話ではありません。
大人の余暇の過ごし方も以前より多様化しており、
ペットを飼うということまで
時間やお金が回らない家庭が増えている
ということが推測されます。

このような要因が絡み合った結果、
ペットの飼育頭数や飼育意向の低下が
現実として起きています。

では今後の日本において、

・少子高齢化は止まるか?
・二世帯住宅が増えたり
専業主婦が増えたり
結婚が早まったりするか?
・レジャーの多様化がおさまり
余暇の過ごし方の選択肢が減るか?

というと、いずれも非現実的ですよね。

ペットの飼育頭数や飼育意向は
基本的には今後も低下傾向にあり、
どこで底を打つかまだわからないと
考えておいた方がよいでしょう。


 

4.ペットの年齢分布

前回までのブログも含めて、
人間の世界の少子高齢化について
何度か触れてきましたが、
ペットの世界の年齢分布も見ておきたいと思います。

犬の年齢分布
猫の年齢分布
(一般社団法人ペットフード協会)

特に犬については
高齢化の波が押し寄せていることがわかります。
直近の数字でシニアとされる7歳以上の割合は、
実に54%を超えます。
動物病院の経営について考えるときにも
犬の高齢化を看過することはできません。

一方、猫は近年に関しては
やや高齢化がストップしています。
上記「1」で猫の飼育頭数は横這いであると述べましたが、
それが高齢化の歯止めに影響を与えていると考えられます。

とはいえ、当然のことながら
全ての犬や猫が今後も歳をとっていきますので、
新たに仔犬・仔猫を飼う人が減少している以上、
犬・猫の高齢化がさらに進んでいくことになります。

人間の少子高齢化が人口減少と表裏一体であったように、
犬・猫も少子高齢化が進むということは、
亡くなっていく子たちも多くなるということで、
将来的な頭数の減少と表裏一体なのです。


5.ペットにかけるお金

最後に、日本の家計がペットにかけている
支出金額の推移を見てみましょう。

以下のグラフが示す通り、

・動物病院代
・ペットフード代
・他の愛玩動物・用品・サービス


のいずれも、
2013年から2015年にかけて
支出金額が増えています。

ペット関連の支出の推移
(総務省統計局 家計年報)

飼育頭数が減少する一方で、
家計がペット関連で支出する金額は
年々大きくなっているのです。

またペット保険の契約件数は
近年は毎年前年比10%以上の伸びを見せており、
普及率がまだ10%未満と低いことから、
今後もある程度の伸びしろがあると予想されています。

ペット文化の成熟とともに

・高度な獣医療
・細分化されたプレミアムフードや療法食
・ペット保険

などをペットのオーナーが求めるようになり
供給も伴うことで、飼育頭数の減少にもかかわらず
ペット市場そのものはその規模を維持しています。
(正確にはわずかに拡大しています。)

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今回はペット市場について見てきました。

飼育頭数の減少は多くの院長先生が認識されていたと思いますが、
それにもかかわらず、家計のペット関連支出が増加しているという
のは意外に感じられた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

軽いノリでペットを飼うような一時期のペットブームが去り、
ペット文化が成熟し、ペットの「家族化」が進むことにより
ペットオーナーがより良いものを求める時代になったのだと思います。

動物病院を運営していく上でも
この傾向を頭に入れておくことは
とても大切だと思います。

次回、第4回は「獣医師のいま」と題して
動物病院数や獣医師数の推移など、
より私たちに近い世界を見ていきたいと思います。

<出典・引用・参考等>
ペットフード協会様の調査は、
今回紹介したもの以外にも示唆に富むものがたくさんあります。
ホームページでデータが閲覧できますので
ぜひ一度ご覧になってみてください。

一般社団法人ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査

総務省統計局 家計調査年報

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